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TRIO KENWOOD


 トリオ/ケンウッド FM チューナー L-01T 

(注意 : ノートンなどでリファラーが無効になっていると画像が表示されません)
(Notice: If You stop send referer, you may not see pictures.)

L-01T 構成図 Block Diagram

1979年 10月、トリオは海外向けに使っていた「ケンウッド」ブランドを国内向け高級オーディオ「 L シリーズ」に使うことになりました。
そのときに発売されたチューナーがこの L-01T で、価格は 160,000円でした。
前年に発売された KT-9900 の 200,000円に比べたら少し安く、20万円以上のチューナーが各社から発売されていた 70年代としては安価な高級チューナーです。とはいえ当時の私には買えるものではありませんでした (^^)

2008年6月にシーマンみやっちさんから本機を頂けることになりました。
ランプが切れたりチューニングメーターの針が折れているということでした。
使用にはあまり差し支えないのですが、使い難いので追々どうにかするつもりです。
受け取ってみると過去に 2回トリオに修理に出されていたり、天板の傷を修復していたりと大事にされていたようです。

L-01T の最大の特徴はデザインだと思います。それまでの KT- シリーズとは雰囲気が全く違います。
KT-9900 や KT-8300 までは質実剛健で通信機的なボディと顔ですが、L-01T はリビングルームに置いてあっても違和感がないデザインです。
少し前に発売された L-07T とは同じ系統なのですが、アクリルパネルが色付きで使わないときはチューナーらしさを隠している点で大きく違います。
色彩は黒と白で逆ですが、翌年に発売された KT-1000 とも同じ流れのデザインになっています。

技術的にも当時のトリオの技術が詰っています。
このなかで本機だけにある特徴は筐体の非磁性体化です。
サブパネルと背面は強化ナイロン、サイドフレームはアルミ、底板は木で構成されています。

L-01T は海外でも販売されていました。
有名なチューナーのサイト Tuner Information Centerに解説があります。
ここの「第二周波数変換によいもの使っているから性能がいい」というのは誤りのようです。
TIC が YAHOOグループに設置している FMtuners にも「それ違うんじゃないの?」という投書がされていました。
「TIC はパルスカウント検波に偏見がある」とも書かれていじけたのか訂正等されていません (笑)

カタログを トリオ / ケンウッド FM/AM チューナー カタログと取扱説明書L-01T 欄 に置いています。

L-01T 外観 (The outside)
正面 (Front panel)
L-01T 暗所正面1 Front Panel in the dark1

画像処理してみると、L-01T 暗所正面1b Front Panel in the dark1b

部屋を暗くして撮影しました。

電球が切れているのですが、本来は周波数目盛りをパネルの下から照らす仕組みで漆黒の中に浮かぶチューナーのように見えるはずです。
指針とメーター類は別の電球で照らすようになっています。チューニングメーターの針は折れて存在しません。
79.5MHz の放送局を受信しているのですが目盛りでは 79.4MHz ちょうどを指しています。

インジケーターは MUTING, WIDE, NARROW の 3個がDIRECT, NORMALの 2個がオレンジです。

フロントパネルは黒い色のアクリルパネルです。 L-01T の電源を落とすと真っ黒になります。
知らない人が見るとアンプかチューナーか分からないかもしれません。
まだまだ追加予定


FM 多重放送によるノイズΣ(゚д゚lll)ガーン

1. 始まり
1000ZXLちゃんねるという掲示板のチューナスレッド ☆☆☆ 1000ZXL-FM ☆☆☆に次のような書き込みがありました。

208 名前:lucien 投稿日: 2006/12/14(木) 22:05:16 [ ZvtDzdfY ]
kt-9900購入記念カキコ。
ノイズが乗るなぁと思っていたら、
それは文字放送が原因との事。 (以下略)

244 名前:lucien ◆WAKbssODmE 投稿日: 2007/08/20(月) 21:17:26 [ CI/4MGqQ ]
KT9900 5素子FMアンテナ NHK−FM クラシック番組で
IF BAND (NARROW/NORMAL/WIDE)でテストしてみました。
以前、ケンウッドサービスの方から文字放送の影響によるノイズについて、
話を聞いたことがあって、終わったことによる影響はどうなのか…。

以前は聴く事に堪えなかったチリチリ音が、
確かにNORMAL/WIDEでも減った気がします。

減ったというのはまだ気になる音がするということですが、
アンテナなどまだ改良の余地があるので、
断定が私には出来ないということで。

L-01Tなんかもこの文字放送のノイズで手放した方多いと思いますが、
買うのだったら良い時期かもしれませんね。(以下略)
この書き込みを最初に見たときは L-01T も KT-9900 も持っておらず気にしませんでした。

ところがその後、古い雑誌 (電波科学1981年2月号) で KT-1000 の「ニュー・サンプリングホールドMPX」の解説を読みこの書き込みを思い出しました。

2. FM 多重放送とは

現在の FM 放送では幅 200kHz (± 100kHz) を 1つのチャンネルとして使っています。
FM 多重放送開始以前はご存知のとおり 100kHz で見ると 0-15kHzを L+R 信号に、23kHz-53kHz を L-R 信号に使っていました。
残りの 53kHz-100kHz を何かに使おうというのが FM多重放送です。

米国では 1950年代後半から SCA 放送 としてサブキャリア 67kHz 、帯域幅 8kHz の FM 多重で音声やデータの放送が行われていました。 (アメリカでは規制緩和で 67kHz 以外でも実施されています)

日本では1975年から郵政省の電波技術審議会で検討が開始され、1994年に東京 FM がFM文字多重放送を開始しました。
76kHz をサブキャリアとして変調し FM 放送に重複して放送する方法です。
帯域幅は調べきれなかったのですが± 10 数 kHz のようです。 (1988年の固定受信に関する答申では 60.4kHz-91.6kHz 間の± 15.4kHz)

2008年9月現在では、民放で文字放送 (見えるラジオ) が、NHKで VICS (道路交通情報) という FM 多重放送が行われています。

当初は 音声多重放送も計画されていたようですが実用化はされなかったみたいです。

2. トリオのサンプリングホールドMPXとは

FMステレオ放送を受信機側で左右に分離する際の 38kHz のスイッチング信号にはデューティ比が 50% : 50% 方形波が使われていました。

この方形波をパルス状にすることで性能を向上させようとしたのが「サンプリングホールドMPX」です。
「サンプリングホールドMPX」は最初に KT-9900 、次に L-01T に使われました。

3. FM 多重ノイズの発生原因

デューティ比が 50% : 50% の方形波の高調波は奇数次だけです。
3次 (114kHz), 5次 (190kHz), 7次 (266kHz) ・・・の高調波が発生します。
これがパルスのようにデューティ比が 50% : 50% でなくなると偶数時の高調波も発生します。
2次 (76kHz), 3次 (114kHz), 4次 (152kHz), 5次 (190kHz), 6次 (228kHz), 7次 (266kHz) ・・・の高調波が発生します。

問題は 76kHz です。FM 多重放送ではサブキャリアが 76kHz ですので送られている多重信号が 2次高調波で音声帯域 (0-10 数 kHz)に変調されてノイズとして出てきます。

KT-9900 や L-01T の発売当時は日本では FM 多重放送は存在しなかったため問題ありませんでした。
また KT-1000 以降の「ニュー・サンプリングホールドMPX」ではノイズをキャンセルするように改善されています。
方形波や正弦波でスイッチングするチューナーでは原理上は問題ありません。

FM 多重放送によるノイズの影響があるのは多分 L-01T と KT-9900 だけでしょう。
L-07T II だけは資料不足でどうなのか今のところよく分かりません。

ところでケンウッドでは、

246 名前:lucien ◆WAKbssODmE 投稿日: 2007/11/25(日) 23:38:37 [ 8H/nT1Xc ]
(前略) 以前、ケンウッドサービスの方にKT-9900とL-01Tの調整について、
その方は同様にナロウバンドのセッティングをしているという話を聞いて、(以下略)
という対策をされていたようです。
昔の高価格なチューナーのステレオ復調回路の前には 100kHz 以上をカットするフィルターが入っていました。
L-01T にはこの部分に元々 2個のフィルターが入っているのですが、これで帯域調整しているのではないかと思います。
でも帯域を狭くすると音質は劣化します。設計時に最適化されていたフィルターを無理に狭めて音質劣化を起こしては何のための高級チューナーか分からなくなります。


4. FM 多重ノイズが出ているのか実際に調べてみる

実際にノイズが出ているのか L-01T で調べてみました。

4-1. 調査に当たっての設定や条件 (条件を変更する場合はその旨記載)
私の個体は底面に貼られたシールによると 1984年12月と 2007年12月にケンウッドで修理されています。
特に 2007年の修理の際にはFM多重ノイズ対策で何らかの調整がなされた可能性があります。

切り替えスイッチは MODE : AUTO 、IF BAND : WIDE 、RF SELECTOR : DIRECT に設定。
オーディオ出力は測るたびに変動するのを避けるため固定出力端子から取っています。

アンテナは TDK TA-101 同調型、無電源、ブースター機能無し。室内に設置。
フィーダーアンテナ程度の性能です。ノイズの発生源になることも無いと思います。
L-01T のシグナルメーターでは NHK-FMで 4.6、FM-Nagasaki で4.8 程度。 (上記外観正面の写真参照)
RF SELECTOR が NORMAL では 5 を超えて振り切れてしまい最良点が分からなくなります。

(参考) dB とマルチパス表示のある別のチューナーで見た受信状況 (FM-Nagasaki)
FM-Nagasaki 信号強度 signalFM-Nagasaki マルチパス multipath
信号強度マルチパス状況


オーディオカードは クリエイティブの E-MU 0404 PCI
サンプリング周波数 48kHz 、ビット深度は 32bit
レベルコントロールは全部 0dB (増減なし) に設定。
E-MU 0404 自体のアナログ入力ノイズはこのとおり。 (L-01T を接続して電源を切った状態です)
E-MU 0404 PCI フロアーノイズ FloorNoise
4-2. さっそく調査
通常の放送時間では音声にマスクされてなかなか Wavespectra で捕らえることができません。
放送休止時間にと考えて日曜日の深夜の放送休止中に録音することにしました。
Wavespectra を使い上記の条件で .wav ファイルに録音しています。

NHK-FM は 25:00から休止するのですが毎週は休止しません。
その上に休止するときはパイロット信号を止めて 1kHz の正弦波を流していました。
ステレオでなければ当然FM多重放送も休止ということです。

そこで休止時間は 26:30からと遅い(時間も短い)のですが民放 (FM-Nagasaki) に切り替えました。
月曜日の明け方にずっと起きてると眠くてたまりませんね。

先ずは次のニつのグラフを見てください。

ノイズが無いとき
FM 多重放送ノイズなし NoNoise
ノイズがあるとき
FM 多重放送ノイズあり Noise

この二つは 1分35秒の録音の中から撮った二つの瞬間のスクリーンショットです。
ノイズがある状態と無い状態が交互にやって来ます。
ノイズの継続時間は瞬間的なものから 30秒くらいまで様々。
ノイズがない時間は瞬間的なものから 10秒くらいまで。
ノイズがある時間が 8〜9割です。
規則性や周期を見つけることはできませんでした。

ノイズが無いときは「サー」といういわゆるホワイトノイズが聞こえます。
一方ノイズがあるときは蝉の鳴き声を汚くしたような音がします
(私の頭の中の蝉はクマゼミですので東日本の人には印象が違うかも。ミンミンゼミやツクツクホーシではありません)

他のチューナーではこのようなノイズの波は確認できません。
Wavespectra で見ても E-MU 0404 自体のノイズと同じように多少の揺らぎはありますが、L-01T のような明らかなノイズはありません。

FM 長崎には電話で休止時間中のFM多重放送について問い合わせました。
電話のオッサンは「電波が止まるときはFM 文字多重放送も止まるのでは」とのことでした。
今回の休止時間は NHKと違い 19kHz のパイロット信号はずっと出いましたので FM 文字多重は放送されていると思います。 (そうなければ上記のノイズのは何 ? ということに)

また、L-01T でも上記 NHK のパイロット信号を止めて 1kHz の正弦波を流していた休止時間中も特にノイズレベルが変動するという現象は見られませんでした。

[注意] 音量を上げてノイズを聞くときは十分注意してください。
波形を見れば分かるように耳によくありませんし、スピーカーを壊す恐れもあります
私はオーディオカードの DSP で 100Hz 以下と 10kHz 以上をイコライザーで -72dB落とす設定をして聞きました。
Wavespectra で見るだけでもいいと思います。

5. 結論
L-01T にFM 多重ノイズあります (´・ω・`)ショボーン

このノイズがイヤならば L-01T とお別れするしかありません。
音質はいいのでノイズを気にしないならそのまま使いましょう。

ppp まで聞けるオーディオセットを持っている人や、そのレベルまで聞くような人には不満があると思います。
クラシックでは小音量の部分も重要なパートです。
FM 文字多重放送開始後に L-01T や KT-9900 を手放したのはそういう人たちだったのでしょう。
特に現行品で購入したような人ならそれなりのアンプやスピーカーと組み合わせていたはずです。
遮音されたリスニングルームを持っている人もいるでしょう。
そういう人達には気になったと思います。
ケンウッドで把握していたのもこういう人から「故障したのかノイズが出る」と修理に持ち込まれたのでしょう。

一方でポピュラー系の曲など常時音量のあるものでは楽曲にマスクされてそれほど気にならないと思います。
でもビートルズの A day in the life なんかだったらやはり気になるでしょうね。
メタル系ならノイズも曲のうちでしょう (笑)

私の場合も通常は大音量でステレオを聞くことが少ないのとパソコンの騒音が意外とあるため気になりません。
以前は年末年始は FM 放送をゆっくり聞いたりしてたのですが今年はどうかな。
参考サイト
FM文字多重放送
NHK FM文字多重放送サービスの終了について

VICS
VICS HOME PAGE

L-01T のアンテナ入力電波について

以下 uV を micro volt の意味で使っています。
1. カタログを見る

L-01T カタログ では 3枚目。 L-01T の左端が写っている横の一番下のグラフです。

L-01T ANTENNA INPUT

一番上のタイトルは文字が潰れていますが SIGNAL NOISE vs ANTENNA INPUT 。
横軸項目(一番下)は ANTENNA INPUT IN V/75Ω (dBf) 。
横軸数値は左端が 1uV、中央 (INPUT の P の上あたり) が 1mV、右端は記載がありませんが 1000mV です。
20uV のところに (30)、 200uV のところに (50) 、 2mV のところに (70) と dbf 換算値がカッコ書きしてあります。

グラフの 4本の線のうち右の点線 2本がステレオで、それぞれ右が DIRECT 左が NORMAL です。
カタログの仕様欄を見れば分かりますが DIRECT と NORMAL の感度差は 10 〜 11dBf です。
グラフを見てもそうなっています。
一番上の構成図を見てのとおり二つの違いはアンテナ入力の直後に RF アンプ が入るかどうかです。
つまり RF アンプの利得が 10 〜 11dB 分ということになります。

カタログの仕様では「 S/N 比 50dB 感度」が下記のようになっています。
NORMAL MONO 1.7uV STEREO 20uV
DIRECT  MONO   6uV STEREO 70uV
グラフに当てはめるとこの通りになっています。

グラフからは DIRECT 時は 3mV 、NORMAL 時は 1mV の入力がないと L-01T の性能が発揮できないことが分かります。
ステレオの線が水平になるところのすぐ上の線が S/N 80dB です。
逆にグラフで省略されている 200mV 以上では過大入力で歪みが発生するかもしれません。

2. L-01T のシグナルメーターでは

L-01T のメーターは調整が正しい場合は NORMAL 時に アンテナ端子に 60dBuV = 1mV の入力があると 4.8 を指します。
ということはメーターで 4.8 以上が L-01T の性能 = カタログのステレオ時 S/N 80dB を得るための条件になるわけです。

これより電波が弱い場合はどうでしょう。指針と電圧の関係が直接は分かりません。
そこで RF アンプの利得が概ね 10dB であること利用して調べてみました。
NORMAL 時に 4.8 を指すようにして DIRECT に切り替えてメーターを読む訳です。
そこが 50dB ということになります。同様の方法で 40dB, 30dB が分かります。

結果とグラフから読み取った S/N 比はこの表のとおりです。
指針位置NORMAL 時 dBuVDIRECT 時 dBuVS/N 比(dB)
4.860 (1mV)70 (3mV)80
4.450 (0.3mV)60 (1mV)75
2.340 (0.1mV)50 (0.3mV)65
0.330 (0.03mV)40 (0.1mV)55
参考に電波の弱い局を受信してNORMAL と DIRECT の指針の差を比較してみました。
NORMAL 4.6 の局が DIRECT では3.6
NORMAL 4.4 の局が DIRECT では2.3(落差が大きいので何回も確かめました)
NORMAL 2.7 の局が DIRECT では0.7

私の場合は DIRECT ですと民放は 4.8 で合格、NHKは 4.6 でマアマアでしょう。

3. まとめ

70dBuV を dBf に換算すると 81.2dBf です。
仮に RF アンプを +12dB として = 72dBuV から換算すると 83.2dBf です。
上のノイズのコーナーの別のチューナーの写真では 85dBbf くらいを指しています。
多少の食い違いがありますが、目盛りの関係で読み取りもアバウトと考えるとだいたい合っているということでしょう。
(この L-01T は 2007年12月にケンウッドで修理されてます。)
みなさんの L-01T とも違っている可能性があります。
KT-9900 や L-02T のメーターを見るともう少し正確に目盛りが振ってありますね。

チューナーは S/N 比だけがすべてではないので 4.8 無くても L-01Tの意味が無いわけではなりません。
音質では下位のチューナーとは差があります (あるはず・・・)

電波にしても強度だけが問題ではなくアンテナに届くまでのマルチパスや、アンテナからチューナー入力までの経路の SWR も音質に影響します。
アンテナもチューナーの一部として考えれば重要ですね。

まとめ (summary)
現在目の前 (机の上) に置いてメインで使っています。
古いチューナーは何らかの欠点はあるので要は楽しく聴ければいいでしょう。







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2008.09.23 開始
2008.10.15 "L-01T のアンテナ入力電波について" 追加
修正は随時行います